斧の考察 その1
薪ストーブシーズン真っただ中ですが、クラブの薪ストーバーは例会の後分配された原木の薪割に取り組んでいます。最近の薪割は薪割マシンも使いますが、やはり基本は斧による薪割です。私たち薪割くらぶが行うイベントでも薪割り体験コーナーがあります。
そこで今回は薪割に使う斧に付いて考察してみました。
斧は大別すると和斧と洋斧があります。私を含む多くの仲間の和斧と洋斧の所有比率はどれ位でしょうか。私の場合は、薪割り用に5本ありますが1本は父の形見で頭が壊れたため、使用に耐えるものは4本、和斧2本、洋斧2本です。相棒のMさんは2本で、すべて洋斧。私の回りの方で、大体洋斧7~8割で、和斧が2~3割と言うところでしょうか。
私の場合はパワーヒッターではありませんが、かなり重いものも使います。重量的には洋斧2本が重く(総重量4kg、3.2kg)、和斧は比較的軽いです(3.0kg、2.6kg)。
では斧にどんな要件を求めるかですが、一番大事なことは振り下ろした時に木に食い込まない斧です。木に食い込んで外さねばならないような斧は、仕事率が低いと思います。
どんな高価な斧であれ、デザインが良い斧であれ、食い込んで離すことに時間を取られていては仕事になりません。
続いて、長時間の作業で疲労感の低いものです。重量的には軽い方が疲れないでしょうが、軽ければ打撃力が弱く割れません。それぞれの体力と扱う原木の大きさ、樹種で各個人に一番合うものを探す事が大事です。但し、最近の里山から出る原木は、循環サイクルがいったん途切れたことから比較的大径木が多く、どちらかと言えば最初は少し重く感じる位が良い気がします。
さて私が持っている和斧と洋斧を比較すると和斧の柄が長く、洋斧の柄は短めです。(スエーデンG社大型鎚付き3.2kgで790mm、ドイツS社薪割り斧4.0kgで860mm。)
洋斧を外人が振り下ろす場合、リーチもかなり長いので柄と腕の長さを入れるとかなりの周速が生まれると考えています。また重量で割りこむように設計されているのでしょう。和斧の場合は、日本人の体形からして柄が長めでちょうど同じくらいの周速を生むのかもしれません。
またG社の斧は大変評判が良いようですが、私には最高の斧とは思えません。良く食い込みます。S社の斧はほとんど食い込みがありません。今まで一番良く使ってきた斧です。
最近和斧を1本手に入れた事を機会に、和斧についても子細に見つめ直してみました。和斧は軽いのですが、なぜか良く割れます。斧頭を見ると刃先から柄の付け根までの顎が和斧はどれも長いことに気が付きました。おそらくこれが楔効果を生むものと思います。
こうして考えると和斧は日本の樹種や楔効果などよく考えられたオールマイティーな斧で最初の1本には良い気がしました。今までは人が使う斧を見て、またそのスタイルなどに憧れて手に入れてきたような気もしますが、今後はよく観察して自分に合った斧を追及して行きたいと考えるこの頃です。
斧頭の形状や楔効果と樹種の関係、薪割テクニックなどについてはまた次の機会に。