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Posted by 滋賀咲くブログ at

山に行けばいくらでも薪はあると考える愚かさ

2014年08月04日

薪ストーブが随分売れている。
日本暖炉薪ストーブ協会の調べでは2013~2014シーズンで約11000台、その他を入れれば相当な数だ。この10年くらいで販売量は2.5倍くらいにはなっている。
巷では薪ストーブの設置需要と薪の供給バランスは崩れている、薪が追い付いていないのだ。
需給バランスが崩れると何が起こるか、未乾燥薪が乾燥薪として出回る。これは明らかに薪ストーブを取り巻く環境にはマイナスリスクとなる。理由は煙害、思ったほど暖かくない、煙突が詰まる、火災が起こる等など考えただけでも怖い。



さて、今日はそんな話題ではない。巷のストーブユーザーを取り巻く薪認識である。
薪は山の木、(山は荒れている、)木はいくらでもある、薪はただで手に入れるのが一番良いと言う考え方、実は薪ストーブ業界が創命期に言い出したことでもある。まだ薪ストーブが珍しかったころ、既に日本の薪炭産業はほとんど衰退していた。地方の別荘地などでは販売薪もある事はあったがストーブユーザーの中でも高級な存在だった。そのころは薪を自分で作るか、廃材や残材、支障木を戴く事も推奨されたのだ。薪を自分で確保する事は非常に不安定なものであり、ストーブユーザーの最大の関心事は、どうしたら薪を十分に確保するかにあった。そしてその名残はまだ根強くあり農村部に行くほど強まる傾向にある。
薪は山にいくらでもあると言う考え方、何度となく言ってきたが山にあるのは樹木であって薪でも原木でもない。山の木を伐り出して原木となり、薪の長さに整えて玉切り品となり、適当な大きさに割って未乾燥薪になる。そこから乾燥が進み、初めてストーブでよく燃える乾燥薪となる、良質な薪を作るには最低でも1年以上の手間暇がかかるのだ。



 先日私のもとにこんな問い合わせが来た、ストーブを5年ばかり焚いている、今まで近隣から木をもらい自分で薪を作ってきた。今年の薪が不足気味だ、業者の原木はどこも高い、安い原木は無いか。残念ながら安い原木などは無い、あっても安く売ることはしない、加工して付加価値を付ければ適正な価格で販売できる。
こうした場合、多分値段を提示すれば高いと値切りされるだろう。そんな時私はいつもいいます、あなたガス屋さんやガソリンスタンドで値切られた経験はありますか、山の木も薪にするまでには労力と経費と時間がかかるのですよと。安い薪や安い原木がほしければ自分で山に入ることだ。山の木がそんな簡単に伐り出せない事が良く解るだろうしこんなに費用がかかるのかと思うだろう。そのことから巷の原木買い取りシステムなどと言うフレーズが如何に陳腐なものかもわかるだろう。



適正な買い取り価格が存在して潤沢に山から原木が伐り出されます。その事が薪ストーブを普及させ薪ストーブ文化を育みます。ストーブユーザーに関わらず薪ストーブを取り巻く業界にとって薪に対する認識は大切な項目です。
皆さんと共に誇れる薪ストーブ文化を育てて行きたいですね。
  


Posted by 薪割りくらぶ at 21:08Comments(0)